北陸旅行記-2日目-①(雄島〜東尋坊)
2日目の朝は早かった。
あまりよく眠れず、3時頃に目が覚めてしまった。
温泉は朝の5時から入れたので、5時になるのを待ってから露天風呂へ向かう。
朝の5時だとまだまだ暗い。
朝日を見ようと思って早めに来たのだけど、日の出は何時になるのか。
ちょっと早すぎたな、と思っていると60歳くらいの女性が入ってきた。
「奥さん」と呼ばれ、私は戸惑ってしまった。
そうか、もうこの年になると結婚しているのが当たり前なのか・・・。
ちょっと切なくなる。
お話好きなマダムで、朝日が差すまで話していた。
マダムも朝日が見たかったようで、いい暇つぶしになったと喜んでいた。
確かに1時間以上もひとりで温泉に入るのはつらすぎる。
彼女の旦那さんは公務員で、今は天下りしたと言っていた。
なんかわからないけど、たぶんすごい人なんだろうなあ。
天下りって聞くと、警察とか政治関係かな?と思ってしまう。
いや、わからないけどね。
この日はたくさん回ろうと思っていたので、朝ごはんを食べてすぐにホテルを出た。
まず向かったのは東尋坊の北にある雄島という小さな島。
「神の島」と呼ばれ、パワースポットだというので行ってみたいと思っていた。
この北陸旅行はパワースポット巡りでもあるのだ。
長い橋を渡ると見えてきたのは鳥居。
厳かな雰囲気で、本当に神様がいそうだった。
鳥居を抜けると石造りの階段があった。
さっきまで雨が降っていたので、ぬるぬると滑る階段を転ばないように気を付けて上っていく。
階段の先には分かれ道があり、私は島のおきて?に従って左の道を選んだ。
島を一周する時は、時計回りに進む。
逆から回ると呪われるという噂があるそうだ。
(調べておいてよかったぜーw)
柱状節理(ちゅうじょうせつり)。
柱のような形状の割れ目の岩体。
板状節理(ばんじょうせつり)。
板のような形状の割れ目の岩体。
不思議なことに観光客はまったくいなく、高潮を楽しんでいるサーファーしか見えなかった。
観光客がたくさんいるのもそわそわしてしまうが、誰もいないというのもちょっと怖い。
それからいよいよ東尋坊へ。
この日はとても風が強く、断崖絶壁の端に立った時はぞくっとした。
風がびゅんっと吹くと、崖から落ちそうになる。
雨で岩が滑りやすくなっていて、思わずこけた。
でもなんとか踏みとどまって尻餅をつかずに済んだけど、めちゃ恥ずかしかった。
というか本気でドキッとした。
落ちなくてよかったぁ。
帰り道に電話ボックスを見つけた。
「今どき電話ボックスなんて珍しいなあ」と思って見ていたら、近くを歩く観光客が耳を疑う発言をした。
「死ぬ前に、最期に大切な人の声を聞きたいって思うものなのかねえ」
って。
・・・え!?
びっくりして調べてみると、東尋坊は自殺の名所なんだとか。
確かに、あの崖から飛び降りたらあの世に逝けるだろうけど・・・。
自殺の名所が観光名所になっているなんて、なんとも皮肉な話だ。