叔父さんが病気になって
先日、祖父母の一周忌の法事があった。
親戚が集まって食事をしている時、叔父さんが癌になったということを知った。
話しぶりからして、他の人はみんな知っているようだった。
私は親戚と会うのが久しぶりなので、私だけが知らなかったのだろう。
叔父さんが癌になったと聞いて、私は何も言えなかった。
今生きている親戚の中では、私だけが癌経験者なのにだ。
なにか気の利いたことでも言えればよかったのだけど、いざその場面になると何も言えなくなる。
私が癌になったとき、周りの人はよく言っていた。
「あの人も癌になったけど頑張って治療している」とか。
「癌になっても死ぬわけではないし、治療すれば治る」とか。
「早めに見つかったからいいほうだよ」とか。
どれもこれも、ほんとうに聞くのが嫌になる言葉ばかりだった。
私のことは放っておいてほしかった。
なにも言葉をかけてほしくなかった。
わかったような口ぶりで話すのはやめてほしかった。
そんな感じだったので、私は叔父さんには何も言えなかった。
私が癌になったときにしてほしかったのは、ただ私の話を聞いてほしかった。
といっても話すことなんて何もないんだけどね。
治療がつらいとか、苦しいとか、痛いとか。
それくらいしか言えなかった。
叔父さんは治療方針も決まっていないと言っていたので、告知されてまだ間もないのだろう。
告知されたばかりの頃って、何も決まってなくて不安なことだらけだと思う。
病期(ステージ)を聞こうと思ったけど、もしかしたらまだそれもわかってないのかも、と思って聞けなかった。
こればかりは自分で考えて、乗り越えていくしかないことだ。
ただ、私が癌から学んだことは時間の大切さ。
残りの人生を悔いのないように、やりたいことをやるということ。
こんなことを言ったら不謹慎だと思われそうだから、言えないか・・・。
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